日常生活では人それぞれに動き方は違います。
演技の時は段取りやセリフなど気にすることが多いので、歩き方まで気にしている余裕はなかなか持てないのでは無いでしょうか。
だからこそ、基本的な歩き方などは普段から体に落とし込んでおく必要があります。
意識しないでも正しい歩き方・動き方が出来るようにしておきましょう。
演技の話し方についてはこちらをご確認ください。
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今回は歩き方・動き方について解説します。
演技中の歩き方・動き方の鉄則その1〜音への意識〜
歩いている時に自分の出す音を気にすることって、普通に生活してるとなかなか無いですよね。
マンション暮らしの方は、下の人に気を遣って足音を立てないようにと言われることもあるかもしれませんが。
ですが、演技の時には無意識に立てる音は完全にNGです。
今はわかりませんが、以前劇団四季の一次審査はスタジオまで移動する時の足音のみで合否が決められていたそうです。
※劇団四季のオーディションを受けた知人からの情報ですので、真偽の程は定かではありません。
基本的に、観客は音のする方を見てしまいます。
自分が喋る前に意識的に音をたてて注意を引くのは熟練の俳優もよく使うテクニックですが、あくまで意識的にやっています。
無意識に音をたててしまっては、他の人のセリフを邪魔することになります。
また、シーン全体のテンポを崩すことにもなります。
間についてはこちらも参照してください。
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特に舞台演技であれば俳優は指先まで意識が通っていないと、緊張感が生まれません。
無意識に足音を立ててしまうということは足の先まで意識が通っていないことの証明になります。
演技中の歩き方・動き方の鉄則その2〜目的をはっきりさせる〜
例えば誰かを指さしたりのジェスチャーですが、経験の無い俳優ほど雑な動きになります。
動く目的が無いのにテンションや勢いで動いていると、意味の無い動きになってしまいます。
セリフも同じですが、動く時も最初は自分が動く目的をしっかり考えてみましょう。
目的が無い動きは悪い意味で目立ってしまうので、いっその事じっとしている方がマシです。
補足として一つ知っておいて欲しいのですが、人間は常にどこかに向かっています。
ほとんどのシーンはどこかに向かう途中で行われています。
例えばこの記事をスマホで見ている方は電車を待っているかもしれません。または寝る準備で歯磨きをしながら読んでくれているかもしれません。
この記事を読み終わった後、そのまま読んでいた場所でじっとしている人っていませんよね?
- ご飯の配膳をしながらの会話シーンで、食卓にご飯を並べ終えた後はどうすれば良いか分からない
- 洗濯物を畳みながらの会話シーンで、畳み終えた後は何をすれば良いか分からない
こんな事が起こるのは、目的に向かう途中の行動になっていないからです。
ご飯を並び終えたなら、席について食べる。
洗濯物を畳み終えたならタンスにしまう。
日常生活では当たり前のことですが、演技という意識になると忘れてしまいがちなので覚えておいてください。
演技中の歩き方・動き方の鉄則その3〜上下左右への意識〜
横の動きはなんとなく意識しやすいと思いますが、上下運動も意識するべきです。
歩き方一つ取っても
- ぴょこぴょこした上下の歩き方
- 重心の安定した流れるような歩き方
- ガニ股で左右に振れるような歩き方
などがありますよね。
演じるキャラクターによって変わってきますので、その都度研究して見ましょう。
また舞台上の立ち位置の取り方ですが、どのシーンを切り取っても絵画として通用するくらい構図が埋まっている事が理想です。
登場人物同士で上下の差を意識するだけでも舞台上の空間は埋まりやすくなります。
演技中の歩き方・動き方の鉄則番外編〜意識の共有〜
舞台上が埋まっているという感覚は慣れないと持ちにくいかもしれません。
立ち位置だけではなく、意識の共有があるか無いかも大事なポイントです。
例えば家族や友達といるときに地震が起こったとします。
そんな時、意識せずとも周囲の人と視線を交わしたりしますよね。
何かしらの刺激に対して複数人の間で意識が共有されます。
すると登場人物と登場人物の間の空間にも意味が生まれるので、舞台上の空間は埋まりやすくなります。
共通のレセプションということで、ベラレーヌ・システムでも紹介されています。
演技法にはいくつも種類があります。世界の天才たちが自分で体現してきた事を元に、一つの方法論として作り上げたメソッドです。スタニスラフスキー、リー・ストラスバーグ、マイケル・チェーホフ、ステラ・アドラー、サンフォード・マイズナ[…]
演技中の動き方まとめ
自分の動きを意識して動いていると、最初は動きが固くなって不自然になってしまうかもしれません。
技術を学ぶときに最初は意識してもうまくいかない時期があります。
その後、意識すればうまくいく時期がきます。
最終的には意識しなくても無意識に反応できるようになります。
芸事は一朝一夕には完成しません。
普段の動き方から意識することで、徐々に完成されていきます。
ぜひ取り組んでみてくださいね!