先日から話題に上がっているインド映画「RRR」を観に行きました。
インド映画って、正直これまでたくさんは観ていません。
最近メキメキと頭角を表しているインド映画。
世界的な目線で見れば、すでに日本の映画は追い抜かれています。
にも関わらずあまり観ていないのには理由がありまして。。。
長い!
この一点です。
とはいえ演技に関わるものとしていつまでも避けては通れませんので、意を決して世界中で話題になっているという「RRR」を観にいきました。
「RRR」も上演時間は驚異の3時間越え・・・!
これだけ話題になってるんだから面白いのであろうとは思うのですが。。。
そんな不安を抱えながら観に行ったわけですが、結果としては大満足の結果となりました。
インド映画「RRR」の鑑賞の前に、インドについての復習!
インドの独立運動について
インドは1857年からイギリスの直轄領になっていました。
学校では詳しくは習わなかった覚えがありますが、インドの独立が1947年なので1世紀近く植民地時代が続いたんですね。
そして「RRR」ではインド独立運動の英雄であるA・ラーマ・ラージュとコムラム・ビームの2人を題材にしているとのこと。
時代としては1920年を描いているとのことですので、マハトマ・ガンディーが非暴力不服従の運動を開始した後くらいの年代ですね。
このお話に出てくる登場人物たちは、自分のお父さんやお母さんがイギリスに虐められている様子を見ながら成長してきたんですね。
ラーマーヤナのラーマ王子って?
監督はインド神話である「ラーマーヤナ」の登場人物「ラーマ王子」をイメージして、ラーマという役を描いたとのことです。
インドの2大叙事詩のうちの一つ。ヒンドゥー教の聖典にもなっている。
と言っても、読んだことはありません(汗)
ですので私が勉強した理解した部分だけ書いておこうと思います。
ラーマ王子はとっても強い人。
誰も使う事の出来なかったシヴァ神の弓を子供ながらに使うことが出来て、ご褒美にシータ姫と結婚することに。
ところがシータ姫は悪い魔王に攫われてしまいました。
ラーマ王子は弟と共に、魔王からシータ姫を助け出すべく冒険するのでした。
ちなみにこのラーマーヤナは日本が誇る任天堂の看板キャラクター「マリオブラザーズ」の元ネタになっていると言われています。
そう言われてみれば、この2人のヒゲの感じもインド人の男性を彷彿とさせますね。
ラーマーヤナのラーマについて
そもそもラーマはヴィシュヌの化身です。
ヒンドゥー教では
- 創造の神であるブラフマー
- 維持の神であるヴィシュヌ
- 破壊の神であるシヴァ
この3神が最高神と言われています。
マハーバーラタのビーマって?
「RRR」に登場するビームには、同じくインド神話の「マハーバーラタ」における「ビーマ」のイメージを重ね合わせたとのこと。
インドの2大叙事詩といわれており、インドの神様や英雄たちがたくさん登場する。
マハー(偉大な)バーラタ(バラタ族)つまり「偉大なバラタ族(クル族の別称)」の全18巻の物語でかなり長い。
物語の中にインドの伝説や神話、哲学などがこんもりと盛り込まれている。
とはいえこちらも無茶苦茶長い物語なので私も最初から最後まで読んだことはありません(すみません)
ですが、この記事を書くに当たって結構調べました。
神様と人間の混血である5人の王子と、その従兄弟である100人の王子との国取合戦。
マハーバーラタのビーマについて
まず、お父さんが女性と性的なつながりを持とうとすると死んじゃう呪いをかけられてるんですね。
お父さんが森で鹿を撃ったところ、実は鹿のフリをしたバラモン(ヒンドゥー教のお坊さん)で、死ぬ間際に呪いをかけられてしまいました。
結果子供が作れなくなってしまったお父さんは、お母さんに神様と子供を作るように頼みます。
そうして産まれたのがマハーバーラタに登場する5王子なのです!
その中でもビーマは風神ヴァーユとの間にできた子供で、幼い頃から怪力で戦いに優れていた王子でした。
ちなみにこの風神ヴァーユは「ハヌマーン」のお父さん。
ハヌマーンは体の大きさを変えられて空も飛べると言うお猿の神様で、伝説の漫画ドラゴンボールの元ネタになったと言われています。
ビーマは孫悟空と異母兄弟ってことですね。
怪力以外のビーマの特徴としては
とにかくたくさん食べる
とかですね。
振り返ってみれば、「お前はよく食べる」っていうイジられ方を3時間の映画の中で1・2度されていたように思います。
「RRR」の登場人物のイメージとなったラーマとビーマについて
私の感覚から言うと、「ラーマ」と「ビーマ」がダブル主演の映画って
「ビーマ」分が悪くない?
って思いました。
だって「ラーマ」はインド2大叙事詩の片方の主役ですからね。
対する「ビーマ」は5王子の1人。
しかも5王子の中には「アルジュナ」というメインキャラクターがいて、ビーマは若干影が薄い印象です。
とはいえこれも日本人である私の感覚なので、インドの方とはちょっと違うのかもしれませんね。
「RRR」のあらすじ
イギリス植民地時代のインド。
イギリス人に誘拐された女の子を取り返そうと少数で奮闘する「ビーム」
一方イギリス警察の一員として、容赦無く暴動を鎮圧する「ラーマ」
2人はお互いに素性を隠して出会い、友情を育んでいった。
しかし2人は本来は敵同士。
親友に裏切られたと知った時、親友を裏切らなければならない時、2人はどんな決断をするのか。
こんなお話です。
まさしく王道のストーリー。
似たようなストーリー展開の作品はハリウッドにも多々ありますよね。
こんな不幸な出会いからハッピーエンドに持ってくのって、普通に考えたら無理です。
ですがこの「RRR」は
そもそも最初から現実離れしてるので、ご都合主義的な展開もあんまり気になりません。
「RRR]の概要
スタッフ・キャスト
映画を撮ったのは「バーフバリ」シリーズで人気を博したS ・S・ラージャマウリ監督
そして主演の1人である「ビーム」を演じたのはN・T・ラーマ・ラウリ・Jr
さらにもう1人の主演である「ラーマ」を演じたのはラーム・チャラン
「ビーム」が唯一の救いとなっております。
ちなみにこの「RRR」というタイトルの由来ですが、監督と主演2人の名前の頭文字からつけたそうです。
ヒロインの「シータ」役はアーリヤー・バット
「ラーマ」のお父さん役にアジャイ・デーヴガン
主演2人も良かったですが、個人的にはこの2人の演技がとても好きでした。
「RRR」の製作費
製作費はインド映画界初の97億円以上とのこと。
ハリウッド映画だと300億以上の製作費のものもゴロゴロしていますよね。
ただ実際観て思ったのは
逆に製作費安くない?
ということでした。
もっと製作費がかかっていてもおかしくないような物語です。
「RRR」の感想(ネタバレあり)
「RRR」の冒頭
もう、冒頭から凄まじいです。
あと表現がえげつない。
あるインドの村で、女の子が素敵な歌を歌いながらイギリス人の手に絵を描いています。
その絵を気に入ったイギリス人は硬貨を2枚、女の子の母親の前に放り投げます。
インド人は英語が分からないので素敵な絵を描いてくれた褒美と解釈するのですが、女の子はそのまま車に乗せられます。
女の子のお母さんはそれに気づいて車を追いかけます。
車の前に立ちふさがり、娘を返してくれるように頼むのですが、後ろから頭にイギリス人の銃を突きつけられました。
と、そこで銃を突きつけていたイギリス人は上官らしき男に止められました。
助けてくれるのかと思いきや、上官は銃弾一発の価値をこんこんと語ります。
細かいセリフは忘れましたが、とにかく「インド人の命は銃弾一発の価値も無い。わざわざ銃を使うな」という説教でした。
イギリス人はお母さんの頭を太い木の枝でフルスイング!お母さんは目を見開いたまま倒れて娘は連れ去られてしまいました。
地獄・・・!
「RRR」のタイトルについて
象徴的に最初の方で「STORY」「FIRE」「WATER」という文字が表示されて、「RRR」はこの3つからとってると示唆されるんですが
こんな印象を持っていました。
終わった後に「RRR]は監督と主演2人の名前の頭文字から名付けたというインタヴューを見て、なるほどと思いました。
ジャンプ的面白さ
観に行った時も、映画館は男性客で埋め尽くされていました。
それもそのはずというか、この「RRR」という作品は男性が求めるポイントをガッツリ押さえてきます。
それ以外にも
- 民族(血統)
- 歴史(父から子に託された使命)
- ありえないほどの身体能力の高さ
といった、人気の少年漫画がほとんどかねそえている部分を全て押さえています。
「RRR]で起こるいろんな意味での笑い
ひと昔前にオリエンタルラジオさんが「PERFECT HUMAN」をテレビで披露しましたよね。
あの時の衝撃はすごかったです。私はテレビの前で
これどう見れば良いの?
と思ったのを覚えています。
その後いろんなワイドショーとかでも「あれはお笑いなのか?」というテーマで議論されていました。
インド映画「RRR」には、その時の「PERFECT HUMAN」的な衝撃を受けました。
凄すぎて笑っちゃう
みたいな感覚です。
ラーマの初登場シーン
イギリス警察はインド人の暴動を抑えられず、暴徒は今にもバリケードを突破しようとしています。
ラーマは理由があって警察での出世を目的としている(この時点では理由は語られません)ので、暴動を抑える警察として暴動に飛び込んでいきます。
その暴動の数が半端じゃ無いんですね。
10000人 VS ラーマ
の戦いが繰り広げられます。そして無事にラーマ勝利。
ビーマの登場シーン
湖のほとりで佇むビーマ
なぜかパンツ一丁で、見事な肉体美を披露しています。
頭から血っぽい何かを浴びて、タッラー!と体に血がたれていきます。
しばらくするとオオカミがやってきました。
それをみてビーマは全力ダッシュ!
さらにオオカミから逃げる間に、オオカミだけではなくトラも合流!
ほぼ腕力のみでトラを制圧し、なんだか分からないシーンは終わりを迎えるのでした。
前フリの長さ
上映が始まってから1時間半くらい経つと
Interval
という文字がデカデカと画面に映し出されます。
インターバルがどういう意味だったのかについてはよく分かりません。
とにかくインターバルが来るまで、ただただ「ラーマ」は悪役でしかないんですね。
村から連れ去られた少女を助けようとするビーマを全力で邪魔してきます。
お前なんか理由があるんだろ?言ってみろよ。
と声をかけたくなる気持ちのまま、2時間くらい経つのです。
この時間の長さが期待感を高めておりまして、その前までの悪役としての印象が強かった分、その後ラーマが大好きになるのです。
「RRR」でののナートゥダンス フルバージョン
これは劇中のナートゥダンスのシーンです。
「サルサでもフラメンコでもない、ナートゥを知ってるかい?」から始まるこのシーン。改めて見ても盛り上がりますね。
これ是非観てほしいんですが、ものすごい動きです。
インド映画といえば歌とダンスの印象がありますが「RRR」でも歌とダンスは随所に盛り込まれます。
しっかり音楽で盛り上がる映画と、ただ邪魔なだけに感じる映画に分かれますが
「RRR]は完全に前者でした。
踊りや歌が入るのもストーリーにちゃんと関係してるので、苦手な人でも楽しめるかと思います。
「RRR」の気になるところ
これだけ長い映画なのに、人物の関係性は丁寧に描かれてはいません。
「ラーマ」も「ビーム」も身分を隠して交流しているという緊張感の中にいるので、そもそも仲が良くなるのは難しいはずなのですが
その過程はイメージ映像でお届けされます。
他にもビームが英国人女性にちょっとした恋心を描くのですが、2人は言葉が通じません。
この2人が仲良くなることでストーリーが進んでいくのですが
2人の関係性の埋まり方が強引すぎる
というのはあります。
さらにラストに近いシーンで、足を怪我したラーマがビームに肩車されて2人で戦うシーンがあるのですが、
その直後に完治してめちゃくちゃ走り回るシーンが描かれます。
「RRR」のまとめ
「RRR」は完全に映画館で観るべき映画です。
逆に言うと、自宅のテレビで見るべきじゃない映画と言えるかもしれません。
とにかく熱量が高くてガンガン引っ張ってくれるので「長い」と感じる余裕がありません。
本当に何も考えずに観れるので、劇団新幹線のようなエンターテイメントが好きな人は絶対ハマるでしょうね。
観終わった後はスッキリした気分になれる素敵な映画でした。
とても面白かったので興奮してしまい、この記事もインド映画ばりに長くなってしまいましたが、ここで終わろうと思います。
ありがとうございました!