先日Netflixにて配信された「ムッソリーニの財宝を狙え」を観ました。
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そういえば「アムステルダム」も冒頭で「ほぼ実話」と紹介されていましたね。
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今回の「ムッソリーニの財宝を狙え」はイタリア映画です。
ジャンルは、クライムアクションになるんでしょうか。
評価としては
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脚本・演出がちょっと微妙だったかなと思います。
実話を謳うわりにエンターテイメントに寄りすぎている印象でした。
脚本もイタリア・ゴールデングローブ賞にノミネートしたレナート・デ・マリア監督が手がけています。
俳優は良かったですが、見せ場となるようなシーンは数えるほどしかなかったです。
「ムッソリーニの財宝を狙え」のあらすじ
イソラは恋人のツテでレジスタンスに武器や弾薬を売って生計を立てています。
そんな生活の中、仲間の1人が暗号を解読。
解読した文章によると、ムッソリーニが幹部を連れてスイスに亡命するとのこと。
亡命にあたってこれまで国民から集めた財宝も国外に持ち出す予定だと言うのです。
イソラはこのムッソリーニのお宝を盗み出すことにしました。
とはいえ、保管されているのは軍施設の中。警備はとても厳重です。
イソラは身軽な女泥棒、爆弾の専門家、プロドライバーを仲間に引き入れて財宝強盗の計画を立てるのでした。
当時のイタリアの時代背景
舞台は1945年。第二次世界大戦の終戦直前。
今からちょうど100年前の1922年10月にムッソリーニはクーデターのようなやり方でイタリアの政権を握っています。
ちょうど100年という節目であることもあって、今回の映画が作られたのかもしれませんね。
政権を握ったムッソリーニは、ファシズムによる独裁体制を作り上げました。
ムッソリーニが率いるファシスト党の考え方や思想のこと。
外国に対しては積極的に侵略していって、国内の労働者は権力で押さえつける。
「力こそ正義!」的な考え方。「北斗の拳」でいうところのラオウの思想。というか、少年漫画の悪役の思考は概ねファシズムに近い。
ムッソリーニについて
独裁体制を作り上げた後は、ムッソリーニの人気はかなり高かったそうです。
しかし1943年、戦争に負けそうになったタイミングでムッソリーニは逮捕されます。
その後イタリアは戦争の着地点を探りますが、なんと同盟国だったドイツ軍がローマを占領。
ムッソリーニはドイツ軍の手によって救い出されました。
イタリアは北と南に分かれ、ムッソリーニは北部で独立政権を樹立。
しかしムッソリーニの体調が良くないこともあり、実際はドイツの言いなりの傀儡政権でした。
ムッソリーニがスイスに亡命しようとしたのは事実です。
スイスに向かう途中にパルチザンに捕まって処刑されました。
ちなみに映画の中では「パルチザン」と「レジスタンス」と言う単語がどちらも出てきますが、この二つはほぼ同じ意味です。
ムッソリーニは愛娘の夫から裏切られた事で、娘の夫の処刑を命令しました。
そのことが原因で、亡命時には娘もムッソリーニの元を去っています。
愛人と2人でスイスに亡命しようとして失敗し、愛人と共に銃殺。
さらに遺体はミラノで愛人と共に逆さづりにされたそうです。
「ムッソリーニの財宝を狙え」の感想(ネタバレあり)
冒頭の銃撃シーン
冒頭でこの物語が「史実に基づいたほぼ真実の物語」である。と言うことが紹介され、その後ツカミとなる銃撃シーンに至ります。
パルチザンとファシストが建物の陰に隠れながらの激しい撃ち合い!
主人公であるイソラはパルチザンに武器を販売した直後だったのですが、お金を銃撃戦のど真ん中に落としてしまいます。
そしてなんと激しい銃撃戦の中を匍匐前進でお金を拾いにいくのです。
いや、絶対死ぬでしょ
と思いました。
お金の袋だけがうまいこと撃ち抜かれて、お金は手に入らなかったけどね。
アニメなら別に気にならない部分ですし、エンターテイメント系に振り切った映画なら「主人公だけには弾が当たらない」と言う不思議現象もよくある事です。
しかし「史実を基にした真実の物語」と言う前提で始まった映画の冒頭で挿入されると、どうしても違和感を持ってしまいました。
主人公のキャラクター
主人公をいまいち好きになれないのです。
イソラを演じるのはピエトロ・カステリット。
スタイリッシュで格好良い雰囲気は「ルパン3世」に通じる部分があるんですが、ルパンと決定的に違うのが女性の扱い
財宝を盗みにいくにあたって、軍施設へ入るための許可証を作るために印鑑的なものが必要になります。
イソラにはこれまでも仕事を回してもらっていた恋人がいるのですが、その恋人はファシスト幹部の愛人。
恋人にファシスト幹部から印鑑を盗んできて欲しいと頼みます。
当然バレたら命に関わるので恋人は渋る訳ですが、キスしてみたり甘い雰囲気を出してなんとなく承諾させます。
さらに用件のみ伝えた後は、ファシスト幹部の愛人に手を出していることがバレないように早々に恋人の元から退散。
耳を引っ張られカツオくん状態で「わぁー!」と言いながら連れて行かれた後は、「愛人に手を出すな」としっかり怒られるイソラくんなのでした。
でも怒られただけで、一旦解放されます。
「ムッソリーニの財宝を狙え」のまとめ
エイターテイメントに振り切ってる訳でもなく、かといってリアルな空気感に引き込まれるタイプの映画でもありません。
「ほぼ真実の物語」として描くなら、もっとエンターテイメント的な演出部分を削った方が良いのかな?と思いました。
「ほぼ真実の物語」と言うテロップがそもそもの間違いだったような気もします。
「この物語は史実を基にしたフィクションです」としてくれた方が飲み込みやすかったんじゃないかなぁ。
ラストも予測できる形ですが、これもご都合主義というか。
悪者とヒロインと主人公が湖に車ごとダイブしますが、ヒロインと主人公は助かって悪者はなぜか浮かんできません。
最後のシーンはダークナイトのヒースレジャーを彷彿とさせるものがあったよ。
おそらくもう一度見ることはないかなぁと思いました。