
こんな質問を頂きました。
間と書いて、「ま」と読みます。
セリフとセリフの間のことです。
「あの俳優は間の取り方が上手い」とか
「間を大事に。もっと意味を持たせて」とか
「間を取りすぎ」とか
演技に携わる人でなくても、なんとなく聞いた事があるのでは無いかと思います。
ということで今回は
演技の間ってなんだろう? 俳優の間の取り方について2つの方法論で解説
というテーマでお話していきたいと思います。
間の取り方やテンポって、作品や監督によって変わってくるものではあるのですが、考え方としては大きく分ければ2つです。
とりあえずこの2つの方法を知っておけばある程度対応できるはずです。
メソッド系演技論における間の考え方
最初にお伝えしたいのですが、演技を始めたばかりと言う方には
メソッド演技系の考え方をお勧めします
飲み込みやすいし、俳優人生の中で一つの指針が出来れば、それは確実に自信につながりますからね。
以前こちらのリアクションについての項目でも紹介しましたが
どれだけ間を空けて次のセリフを言うかは、受け取った衝撃の大きさによって変わってきます。
メソッド演技系の考え方として基本となるのは
何かが起こってそうさせるまで、何もしてはいけない
と言うことです。
つまり言いたくなるまで言っちゃダメなのです。
ですので、そもそも「間をとる」とか「間を詰める」とかっていう考え方はメソッド系の演技にはありません。
むしろそんな事考えちゃダメだと指導されます。
意識的に間を空けようと考えると、演技経験が浅い俳優の場合
ほぼ間違いなく失敗します
だって間を意識しているのは俳優自身であって、登場人物では無いですからね。
日常生活でも我々は友達と話すときに間を意識してはいないはずです。
本人は自然に演じているつもりかもしれませんが、残念ながら周りから見たら
自意識がみえみえ
と言う事はよくあります。
経験を積んだ俳優が間を空けようとする場合には
表現のイメージは完全に放っておいて演じています。
この「放っておく」と言う感覚がとっても難しいのです。


「間を詰めて」と言われた場合
「このセリフは間を詰めて」と言う演出があった場合
欲求に対する熱量を高くする
と言うのがメソッド演技系の考え方です。
欲求の熱量に関してはこちらの記事も参考にしてください。
シーンの中で相手を謝らせたいと言う欲求があるなら、何がなんでも謝らせるのです。
台本上シーンの最後に相手が謝らないと言う結末だとしても、台本を変えるくらいの勢いで欲求を達成しにいってください。

欲求に対する熱量が上がれば、それに伴ってアドレナリンの分泌量が増えます。
簡単に言うと鼓動が速くなって、体内のリズムが速くなります

アドレナリンが出まくっている状態だと、内面の回転率が上がるんですね。
それに伴って間は必然的に詰まります。
「間を空けて」と言われた場合
「このセリフは間を空けて」と言われた場合
心の中の声を作ってください
例えば
A「B君、店の外のゴミ箱さ、袋変えておいてくれる?」
B「わかりました」
こんなやり取りがあるとします。
コンビニの深夜バイトの二人のやり取りです。
「『わかりました』っていう前に間をあけて」
こんな指示が演出家からありました。
その場合
A「B君、店の外のゴミ箱さ、袋変えておいてくれる?」
Bの心の中の声
「え?またかよ。さっきも俺がゴミ箱変えたじゃん。俺だってあんな汚いゴミ箱触りたくないよ〜。あれ?そういえば今日Aさんやけにオシャレな格好してるな。バイト前にデートでもしてたのか?お気に入りの洋服汚したく無いんだろうな。仕方ないな〜。まぁ、いいか、俺ジャージだし。やってあげよ。」
B「わかりました」
例えばこんな心の中の声を作っておいてください。
演じる時に心の声を頭の中で正確に言う必要はありません。
前もって作っておけば、自然と間が空きます。
もちろん自分が演じるキャラクターに合わせて、台本の状況にあった形で作ってくださいね。
硬いキャラクターなのであれば、心の中の声も硬めに。
チャラいキャラクターなのであれば、心の中の声も軽めにしてください。
以上がメソッド系の演技論での間の考え方と、演出を受けた場合の解消の方法です。
次に、より表現的な方法での間の取り方を解説します。
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