演技の声の出し方 相手に届いていないと言われる声の出し方ってなに?

苦しんでいるタコ
相手までセリフが届いてないって言われたよー!これどういう意味なの?
色んな可能性があるけど、今日は声の出し方から考えてみよう!
  • 相手までセリフが届いてない
  • 相手に影響を与えられていない
  • セリフがかかってない

こんな事を言われたことは無いでしょうか?

 

ちょっと別の話ですが

「相手のセリフを聞けてない」とか「相手からの影響を受けられていない」と言われてしまう方はまずこちらをご覧ください。

良い演技とは?絶対に押さえておきたい技術3選 相手のセリフをちゃんと聞くってどういう事?

以前もお話ししましたが、演出・監督は感覚的に俳優に伝えます。

現実的に考えれば、演出家に聞こえているのであれば相手役まで声が届いていないわけありませんよね。

怒っているタコ
じゃあなんでそんなこと言うんだよ!
物理的な話じゃなくて、感覚的な話なんだよね。演出・監督が言っているのは「セリフが届いてないように見える」って事なんだ。

本日は

演技の声の出し方 相手に届いていないと言われる声の出し方ってなに?

と言うテーマで解説していきます。

 

演技で使う声の出し方の簡単な練習方法も紹介しますので、是非最後までご覧ください。

演技の声の出し方① セリフに意図を持つ

声の出し方というよりは、セリフの言い方ですね。

とは言え、セリフに意図がない場合も「相手に影響を与えられていない」と言われてしまうので、簡単に解説しておきます。

 

セリフにはどんな意図があるのか?台本のサブテキストと言われたりもします。

例えば

お母さん「今日の夜ご飯コロッケで良い?」

子供「うん、いいよ」

こんな台本があるとします。

これだけだと何通りも解釈できるということがわかりますか?

 

子供のセリフの下にある心の声としては

やったー!大好物のコロッケだ!嬉しい!ありがとう!

もあるかもしれませんし

今、ゲームやってるんだから話しかけないでよ。夜ご飯なんかどうでもいいよ

もあるかもしれませんし

昨日もコロッケだったじゃん!嫌だよ。でも、お母さん仕事で忙しいんだろうから

もあるかもしれません

 

この中のどれだったとしても

「うん、いいよ」と言うセリフは言えるのです。

そしてセリフの下の意図によって、相手に与える影響は変わります。

 

「ありがとう」と言う意図を「うん、いいよ」と言うセリフを使って伝えるのか

「どうでもいい」と言う意図を「うん、いいよ」と言うセリフを使って伝えるのか

「いやだ」と言う意図を「うん、いいよ」と言うセリフを使って伝えるのか

演出・監督と相談する場合もありますが、基本的には俳優が決める部分です。

 

厳密に言えば

意図が無いセリフから受ける影響

と言うのもあります。

ですのでもしも相手役のセリフに意図を感じなかったとしても、相手を責めないようにして下さいね。

 

例え一言だったとしても、どういうつもりで言っているのか考えてみて下さい。

コツとしては

セリフ以外の言葉で伝えるとしたらなんと言うか

を考えてみるのが良いでしょう。

演技の声の出し方② 距離感を掴む

声の出し方について、今度は距離感から考えてみましょう。

実際の距離よりも近い場所に向けて声を出していれば、やはり演出・監督は

相手に声が届いていない

と感じてしまいます。

 

距離感は

  • 声の大きさ
  • 声の高さ

この二つで決まります。

 

山頂について、とても晴れやかな気持ちの中

小さな声で「ヤッホー」と言ってる人はいませんよね?

恥ずかしいんだったらやめときなよと言いたくなります。

やはり向こうの山に向かって大きな声で「ヤッホー」です。

 

また、超低音の声で「ヤッホー」と言っている人もいません。

誰しも感覚的に

高い声の方が遠くまで響きやすい

事を知っているのです。

 

舞台で距離感が近い場合、声を小さくするわけにもいきません。

だって、相手役との距離感が適切だとしても、お客さんに聞こえなければ意味が無いですからね。

ですので舞台俳優は

声の大きさはそんなに変えずに、声の高さだけは距離感に応じて低いトーンで出します

最近は集音マイクを使うのがほとんどなのでそんなに意識しなくても良いかもしれませんが。

 

声の高さについては、演じるキャラクターにも関わってきます。

高い声は「軽い」「元気」「若い」などの印象を与えますし

低い声は「安心」「信頼」「頼りになる」などの印象を与えます。

演じているキャラクターを考えると高い声にはできない

と言う場合は、この後の「演技の声の出し方③」を参考にして下さい。

 

距離感を掴む声の出し方トレーニング

意識をするのが大事ですので、遊びの感覚でお友達とやってみて下さい。

 

まずは距離感を変えてセリフのやり取りをしてみます。

50センチ、2メートル、10メートル

実際に距離を変えて、演じてみましょう。

セリフの意味や台本の内容などは特に考えず、ただ距離感だけを意識してやり取りしてみて下さい。

 

 

次に、近めの距離で向かい合って下さい。

このステップでは距離自体は重要では無いので、離れずぎないくらいで大丈夫です。

 

最初は

声の大きさも高さも、実際の距離感でやってみて下さい。

次に

声は大きく、高さは実際の距離感で演じてみて下さい。

最後に

声は実際の距離感で、声の高さは高いトーンで演じてみて下さい。

 

どうでしたか?

最初はとっても違和感があると思います。

慣れてくれば、意識しなくても必要な大きさと高さが出せるようになります。

意識しなくても良い状態になるには、繰り返しの練習あるのみです。

 

自分の声の大きさと高さを意識して、自在に演じ分けられるようになりましょう。

演技の声の出し方③ 頭に抜ける声を意識する

なぜ高い声の方が響きやすいのでしょう?

答えは、高い声の方が頭に抜ける声になるからです。

 

演技の時に

喉の奥を開いて

と言われた事はありませんか?

 

これはなぜかと言うと

喉の奥を開くと鼻に息が抜けないようになり、口の中で響く声になる

からです。

ややこしいですが、これが演技の時に言われる

頭に抜ける声

というものです。

 

難しい説明は省きますが、映像の世界でも舞台の世界でも

頭に抜ける声になっていないと「相手に影響を与えられていない」と言われます。

声が響かないので、相手に飛んでる感じがしないんですね。

 

試しに、鼻をつまんで普通に「まみむめも」と言ってみて下さい。

 

どうでしょう?

大体の方が鼻声になっているのではないでしょうか?

鼻声になっていると言うことは、鼻に呼吸が抜けているという事です。

今度は鼻をつまみながら出来るだけ高い声で「まみむめも」と言ってみて下さい。

 

どうでしょう?

高い声だと鼻に呼吸が抜けていないのが分かると思います。

だから高い声だと、遠くまで届く声になるんですね。

 

 

そして低い声で鼻に呼吸を抜けさせないようにするには、喉の奥を開いておく必要があります。

分かりやすい例だと、あくびをしながら喋れば鼻に呼吸は抜けません。

 

気をつけておいてほしいのは

全ての音を全く鼻に呼吸を流さないようにする

ということではありません。

「がぎぐげご」の鼻濁音は鼻に通す必要がありますし、「ん」は鼻を通さず発声するのは不可能です。

 

これも大事なのは、普段からの意識の仕方です。

呼吸の流れ方なんか考えながら演技は出来ませんからね。

 

鼻に通す声も鼻に通さないで響かせる声も自由自在になっていれば、演技の時に改めて声を意識する必要はありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

①と②については即効性があるかと思いますが、③については修得するのに時間がかかります。

自分自身を振り返ると、初めての舞台出演から5年くらいで意識しないでもできるようになったと思います。

 

とはいえ私が演技を学んだ当時は

「お前の声が届いてこねぇんだよ!」

と、前時代的な精神論しか与えられない中、試行錯誤して自分で考えました。

 

正しい方法で学べば、私よりも早く自分のものにできるのではないかと思います。

 

継続は力なり!

頑張っていきましょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

最新情報をチェックしよう!