リアリティのある演技をするにはどうすれば良いの?台本をもらってからの準備を4ステップで解説

台本もらったからとりあえず覚えたけど、この後どうすれば良いの?
レッスンのクラスでこんな質問がありました。

 

 

演技に取り組み出してあんまり経ってない人は
台本を覚える以外何したら良いのか分からん!
と言う方も多いんじゃないでしょうか?
今日はそんな質問に答えていこうと思います。

 

 

最初にお伝えしておきますが、本日の内容は初心者向けのものとなります。

 

想像上の世界で真実に生きる

 

 

と言うことが出来るようになった方は、次の段階としてキャラクターにアプローチしていきます。
その段階になると、今日お伝えすることだけでは足りません。
今回お伝えすることは、あくまで入門編となりますのでご了承下さい。

 

 

それでは本題に入っていきましょう!

リアリティのある演技とは?

さて、そもそもリアリティのある演技ってなんでしょう

笑っているタコ
演技してるように見えない演技!

そうですね。

例えば今朝起きてから、あなたはいろんな行動をしてきたし、いろんな言葉を喋ったと思います。

 

それが全て台本どおりだったとしたら、あなたは間違いなく名優ですよね?

 

リアリティのある演技をしたければ、普段の通りにすれば良いのです。

 

演技をしなければ良い

ってことですね。

 

演技をしなければ良いって言われても。。。
と言う声が聞こえてきそうですが、演技をしないための準備についてはこの後解説しますね。

 

 

さて、演技をしなければ良いと言っても
日常生活と同じようにしていれば良いわけではありません

 

仮にあなたが一番大事な人を失うと言う不幸に襲われる事があれば、それは日常生活ではあり得ません。
宝くじで一億円が当たったとしたら、それも日常生活ではあり得ませんよね?
そして、台本で描かれる登場人物たちも同じようにドラマチックな世界に生きています

 

 

さて、ドラマチックな世界で、普段通りに生きるためにはどうすれば良いのか?

 

台本をもらってセリフを覚えるのは、初歩の初歩です。

セリフを覚えるくらいなら時間さえかければ誰でも出来ます。

俳優として演じるには、誰でもできるスキルでは不十分なのです。

 

と言うことで次は俳優の準備について解説していきます。

簡単4ステップ!リアリティのある演技のための準備

台本をもらったら、まずやってほしい事があります。

セリフを覚えるよりも大事なことです。

この準備をしていなければ、セリフだけ覚えても機械と同じことになってしまいます。

 

順番に見ていきましょう。

欲求を知る

第一に演じる人物の欲求を知ることです。

 

我々は常に欲求に基づいて行動を起こしています。

今「読む」と言う行動を起こしているあなたも欲求を持っています。

・演技力を向上させたい

と言う欲求ですよね?

そして「書く」という行動を起こしている私の欲求は

・演技について理解してもらいたい

という欲求を持っています。

 

例えばシェークスピアの名作「ロミオとジュリエット」

劇中のロミオの欲求は簡単に言えば

ジュリエットと結ばれたい!

ということです。

彼の行動は基本的にこの欲求に基づいて行われます。

そして劇中の登場人物たちはみんなそれぞれの欲求に基づいて行動しています。

 

欲求は意識している・していないに関わらず常にあります。

普段通りにただ生きたければ、普段通りのメカニズムを理解する事が重要です。

 

しかしそれを理解せずに

良い俳優だと思われたい!

が欲求になってしまって、登場人物では無くなっている俳優はとても多いのです。

 

欲求についてより詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

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度合いを知る

度合いとは

欲求がどれだけ強いものなのか?

ということです。

 

あなたは明日オーディションで、藁にもすがる思いで読んでいるかもしれません。
または何かの弾みでこのページに辿り着いて、時間潰しに読んでいるかもしれません。

この両者では度合いが全く違うということは理解できると思います。

 

登場人物の度合いを知るには

欲求を果たせなければどうなってしまうのか?

を理解することが重要になります。

 

そして度合いが違えば、同じ行動をしているとしても熱量が全く変わってくるのです。

熱量は観客に何らかの形で伝わります。

 

さらに度合いが違えば熱量だけではなく、行動自体も変わってきます。

 

先ほど例に出した「ロミオとジュリエット」

ロミオのジュリエットと結ばれたいという欲求はどれだけ強いものなのか?

彼は最後毒を飲んで死んでしまいます。

つまり

死ぬほど達成したい欲求

なのです。

 

それだけ度合いが強いからこそ

「敵対している家の草むらに忍び込む」「駆け落ちしようとする」

などの激しい行動になってくるんですね。

障害を知る

障害とは

欲求を達成するのを阻むもの

ということです。

 

障害を知る事で登場人物の欲求に対して実感を持ちやすくなります。

そして一番大きいポイントは

困難を乗り越える為のエネルギーが生まれるという事です。

 

あなたの一番好きな映画は何でしょう?

大好きな映画を観ているとき、心の中で登場人物を一生懸命応援しているはずです。

テレビで視聴率が高い番組を調べたことはありますか?

歴代視聴率トップ10のうち、7つにスポーツ番組が入っています。

 

つまり、人間は誰かに自分を重ねて応援したい生き物なのです

そして応援される為には、困難を乗り越えるエネルギーを持っていることが必須条件です。

 

ボクサーが試合前にこんな事言ってたらどうでしょう?

勝てないとは思いますが、勉強させてもらいます!

気持ちは理解できますが、困難に押しつぶされてる人は応援しがいがないですね。

 

先ほどの「ロミオとジュリエット」の例で言うと

障害は両家の対立ですね。

しかも家だけの話ではなく、教皇派と皇帝派の対立構造です。

困難なことに恐れず立ち向かっていくからこそ、登場人物たちは魅力的になります。

 

日常生活では困難なことに立ち向かえない人がほとんどです。

だからこそ、俳優は普段から高いエネルギーの状態でないと登場人物たちを演じる事はできません。

 

障害についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

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是非あわせてご覧ください。

手放す

ここまで準備してきたら、あとは準備したものを手放しましょう。

準備してきたものを握りしめたままシーンを演じることは出来ません。

なぜなら普段から我々は欲求も度合いも障害も意識して生きていないからです。

 

例えば東京から大阪に向かうとします。

その間ずーーっと頭の中で喋っています。

Name
よし、大阪に行くぞ大阪に行くぞ。なぜなら大阪の両親が帰ってくるのを待っているから。もし帰れなかったとしたら今年のお年玉が貰えない。絶対大阪に行くぞ。そのための障害としては新幹線のチケットが一万円くらいかかるが、絶対に乗り越えてみせる。さらに途中でお腹も減るだろう。お弁当代も発生する。全ての障害を乗り越えて俺は大阪に行くぞ

こんな人はいませんよね。

ずっと頭の中で意識し続けていたら、おそらく乗り過ごして、結果大阪には辿り着けなくなるでしょう。

 

欲求も度合いも障害も、ただ存在しているだけのものです。

 

そしてこの手放すという作業が今回の4つの中で一番難しいステップです。

なぜなら一生懸命準備してきましたからね。

せっかく準備したものを手放すということが勿体無くて出来ない俳優は多いです。

 

「手放す」という事をする為には、それまでの準備がものをいいます。

そもそも準備が出来ていないと手放すものがありませんからね。

 

準備してきた自分を信じて、実際に演じるときは思い切って手放しましょう。

手放したとしても、準備したものは必ずあなたの中に残っています。

「次は〜大阪〜」のアナウンスを聞き逃さないように

ただ目の前の相手との時間を楽しんでください。

まとめ

今回はリアリティのある演技をするための準備のお話でした。

参考になれば幸いです。

 

今回は説明を省きましたが、もちろん覚えた台本も手放してシーンに臨んでください。

この感覚はとても特殊です。

覚えた台本を手放すのは怖いので、どうしても最初は頭の中で台本を読んでしまいます。

 

手放すというステップは、指導者の前でやってみないと感覚が掴みにくいかと思います。

タイミングがあれば是非専門のスクールで学んでみてください。

 

とはいえスクールも色々あります。

最近話題になっていますが、人格否定されるような場所もあります。

もしもそういう指導者に出会ってしまった場合はすぐに辞めましょう。

 

真面目な人ほど「出来ない自分が悪いんだ」と攻撃に耐えてしまいます。

まともな指導者なら受講者を傷つけるようなことはしません。

逃げることは恥ではないし、そこだけが居場所ではないんだと知ってください。

あなたが幸せじゃないのに、観ている人を幸せにすることは出来ません。

 

演技を楽しみましょう!

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