演技が下手な俳優の根本的な特徴2つ 基本的な俳優の問題について

こんにちは。アクティングコーチのイルカ先生です。

私は20年間芸能の世界に関わってきました。

自分自身も実際に俳優として、プロの世界で演じています。

TVドラマ、映画、CM、舞台といった各メディアに出演しています。大きい作品もあれば、自主制作の作品もありました。

 

20年間、とにかく演技とは何かということを考え続けてきました。

スタニスラフスキーやマイケル・チェーホフ、イヴァナ・チャバック、ステラ・アドラー、サンフォード・マイズナー、などなど。

実際に師匠について勉強した理論もあれば、自分で学び実験しながら確かめていったものもあります。体に落とせたものしか、方法論としては使えないと思っています。

 

この記事では、そんな私が

演技が下手な俳優の特徴

について解説したいと思います。

 

演技が下手、と言っても、何を持って下手なのか?

これは難しい問題です。

だって、言ってしまえば、演技の上手い下手って

最終的には観る人の好み

ですからね。

 

だからこそ、今回は好み以前のかなり基本的な部分について解説します。

好みがどうこうという以前に、この記事で紹介している部分は最低限乗り越えておかないと「下手な俳優」の烙印を押されてしまいます。

気をつけてくださいね。

 

演技が下手な俳優と思われてしまう根本原因2つ

俳優が舞台上やカメラの前で演じる時、ほとんどの人が直面する問題が2つあります。

勘が良くてすぐにこの問題をクリアしてしまう人もいれば、プロとして作品に携わりながらも何年もこの問題から抜け出せない人もいます。

 

それまでの人生経験も関わってくるので個人差はありますが、専門的に訓練を積めば誰でも遅かれ早かれ解消する事が可能です。

地道なトレーニングが必要となりますが、鍛えれば一生俳優としての力になるでしょう。

 

とはいえ

 

まずは知識として起こりやすい問題を知っておくことが必要です。

人間自分が認識できる部分しか鍛える事は出来ません。

 

演技が下手な俳優と思われてしまう特徴その1 自意識

自意識とは物語のキャラクターが持っているものではなく、俳優自身が抱えている自意識の事です。

想像上の世界で真実に生きる

と言うことが演技の最終目的地になるわけですが、俳優の自意識は常にそれを邪魔します。

 

想像上の世界で真実に生きると言う演技の定義についてはこちらに詳しく書いていますのでご覧ください。

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まずはこの自意識の問題から詳しく解説します。

俳優にとっての自意識とは

「このシーンはぜひ泣きたい!」

「今日は社長が来てるから緊張するなぁ」

などです。

 

ジュリエットに愛を語りながら、客席の事務所の社長を気にしてるロミオはですよね?

人生の中に客席はありません。
ですので客席を気にしているのが伝わったら、その時点で誰もその物語を信じることが出来なくなるからです。

「今日の映画は常に嘘くさかったし、一瞬も信じられなかった!最高に面白かったよ!」

と言いながら劇場を後にする方はいませんよね。

 

考えているだけだったら観客には伝わらない。

と思う方もいるかもしれませんが、喜ばしい事に観客はそんなに馬鹿じゃありません。

言葉の端々から必ず見破られます。

 

ロミオの死を知る前から必死に泣こうとしてるジュリエットを見たら誰だって興醒めですね。

なぜなら普通に生きている時に人は自分から泣こうとはしないからです。
むしろ泣くのを我慢しようとするのが普通です。

だからやはりそれを見た観客は世界を信じられなくなるし、
それ以上にあなた自身が世界を信じられなくなってしまうのです。

自意識から解放される方法

自意識から解放されるためにはいろんな方法がありますが、共通して言える事は

対象物に完全に注意を向ける

と言う事です。

 

例えば、緊張をとる方法として

ボディ・スキャン

と言うテクニックがあります。

どんなものか説明しますので、是非一度やってみて下さい。

 

①10秒間、自分の呼吸のみに意識を向ける。長く深く呼吸して下さい。

②自分の体の一番違和感が感じる部分を見つけ、その違和感に1〜10の間で点数をつける。
※正確でなくても、自分の直感で大丈夫です。

③その違和感に注意を向けながら、10秒間呼吸をする。
この時、自分が息を吐くごとに違和感が緩んでいくようにイメージ

④フラットな状態に戻り、違和感が何点減ったか確認する

 

以上です。
違和感の点数が減ったかどうかはこの際問題ではありません。

まじめに取り組んでいただくと、緊張している時などは即効性の効果があります。

これは体や呼吸に意識を向ける事で自意識が弱まると言う事です。

 

演じている最中に自意識によって想像上の世界から抜けてしまっていると感じた場合は、
相手役に100%の集中を向けて下さい。

その場で相手に完全に集中すれば自意識は自ずとなくなります。

何を言っているのか、どんな様子で言っているのか、声のトーンは?

例え何度も演じているシーンであっても、
その瞬間の相手はその瞬間だけのものです。

二度と訪れる事のない一瞬を全力で楽しみましょう!

演技が下手な俳優と思われてしまう特徴その2 初めて経験できない

演じる時に初めて経験することが出来ない方はたくさんいます。

 

なかでも

相手の話を初めて聞くことが出来ない

と言う問題は、初心者には最初の壁としてやってきます。

 

しかし当然ながら想像の世界のキャラクター達は先の展開を知りません。

つまり、それを演じる俳優も当然知っていてはいけません。

 

なぜ初めて相手の話を聞けなくなってしまうのか

答えはシンプルですが、脚本があるからです。

 

俳優は相手が何を言うか事前に知っています。

だからこそ知っているにも関わらず初めて聞くと言う特殊技術を身につける必要があるのです。

これはかなり特殊な技術なので、訓練によって培うしかありません。

 

とは言え、鍛えれば必ず身につけることは出来ます。

 

そのために知っておいて頂きたいのは

人間は言葉が同じ意味でも全く別の意味を伝えることが出来ると言うことです。

初めて相手の話を聞くための方法

話を聞いている時は話している内容を聞いていると思いがちですが、
実は人間は話している内容以外の情報に注意を向けています。

メラビアンの法則という有名な心理学の法則があります。

話の内容:7%
聴覚情報:38%
視覚情報:55%

このように普段は話を体全体を通して聞いているのです。

 

妻「今度のお休みどこに行こうか?」

夫「・・・うーん、どうしようね」

妻「あ!久しぶりに動物園はどう?」

夫「あぁー、いいんじゃない?」

 

簡単なセリフのやり取りですが、どのようにイメージしたでしょう?

離婚間際の夫婦を想像した方が多いんじゃないでしょうか?

深ぼりするなら、奥さんの方は愛の無くなった夫の気持ちに感じながらも、
子供達のために必死にその事から目を逸らしているのかもしれません。

 

それではこちらはどうでしょうか?

 

妻「今度のお休みどこに行こうか?」

夫「うーん、どうしようね」

妻「あ!久しぶりに動物園はどう?」

夫「あぁ!いいんじゃない?」

 

なんだか夫も積極的な雰囲気がありますね。

奥さんが受ける影響も先ほどとは全く違うものになることは明白でしょう。

 

問題の一つ目とも繋がる話ですが、
相手の言葉を完全に聞くことが出来ていれば自意識からも解放されます。

 

本当に聞くとはどういう事なのか?

これは言葉では説明が難しいのですが、
レッスンではレペテションと言うエクササイズを通して学んでもらっています。

まとめ

今日は演技が下手と思われてしまう俳優の特徴についてのお話でした。

 

簡単にまとめてきます。

演技が下手と思われてしまう俳優の特徴2つ

自意識を捨てきれない

初めて経験できていない

 

この2つです。

 

 

次回は、今回さらっと触れたレペテションと言うエクササイズについてもう少し詳しく説明したいと思います。

 

 

まずは知ることで問題を認識できます。

知った後は、トライアンドエラーを繰り返しながら人は成長していきます。

トライアンドエラーを繰り返すことのできる環境を手に入れられるのも俳優の才能の一つ。

 

自分という才能を磨いていきましょう。

あなたには磨くだけの価値があります。

 

 

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