セリフの読み方
嫌な響きだなぁと思います。
演技は表現ですので、セリフの読み方に正解も何もありません。
喋り方って日常生活でも人それぞれですからね。
と、演技の世界に身を置いた人は大体そんな風に言うでしょう。
そしてそれは正しい考え方だと思います。
と言う方もいますが、感情を込めれば抑揚が生まれる訳ではありません。
逆に感情を込めようと力が入っていると一本調子になりがちです。
大事なのは
自然発生的に生まれてくる感情に従ってセリフを喋る
ということです。
指導するときには、まずは自然発生的に生まれた感情に従えるように伝えています。
このサイトに来てくれたと言うことは、少しでも演技力を向上させたいと言う思いを持っているんじゃないでしょうか?そこで質問なのですが そもそも演技ってなんでしょう? いるか先生[…]
こちらでも伝えていますが、想像の世界で真実に生きることが大事ですからね。
想像の世界で真実に生きることが出来ていないのに表面上のことだけ考えても、全体的にチグハグな演技になってしまいますので気をつけて下さい。
ですが想像の世界で真実に生きるだけだと、リアルな演技にはなっても魅力的な面白い演技にはなりにくいです。
長々と前置きしましたが、今回はセリフの練習方法と読む時に心がける事を紹介します。
セリフを練習するときにやってない?NGな練習方法
セリフの読み方の練習って、実はプロの俳優はほとんどやりません。
やるとしても棒読みで淡々と声に出すだけの方がほとんどです。
自分のイメージでセリフを固めてしまうと、相手役とのセッションになりませんからね。
不安な気持ちは分かります。
練習しておかないと確かに初心者の方は棒読みになってしまうかもしれませんね。
理想としては相手の言葉を聞いて自然発生的に生まれる衝動と共にセリフを言えた方が良いのですが、一人で練習する場合はこれから説明するような事にならないように注意しましょう。
自分のセリフだけ覚える
ベテラン俳優が自分のセリフにだけマークをつけていたりするので真似してしまう方もいるかもしれません。
でも初心者の方は避けたほうが良いですね。
台本には流れがあります。
何か言われたことに反応して次のセリフが生まれます。
相手のセリフをしっかり聞かないと自分のセリフは生まれません。
できれば相手役のセリフも含めて全て覚えておきましょう。
セリフの読み方を決める
これも初心者の方がやりがちなNG行為です。
感情を込めろと言われて、自分のセリフのだいぶ前から無理やり感情を高めて決めた読み方で読む。
一瞬だけ映される映像演技であればこれでも良いかもしれませんが、舞台だと必ずバレます。
オーディションも基本は審査員の前で演技をするので舞台と同じです。
読み方は決めずに、その場の流れに従えるようにしましょう。
セリフ通りにしか読まない
経験の少ない方の演技でありがちなんですが
B「(遮って)どうしてもっと、止めてくれなかったの?」
こんな台本があるとして、初心者がAを演じると10人中9人は「それに」でセリフをやめてしまいます。
Bの俳優がちょうど「それに」で止まるくらいのタイミングでセリフを言ってくれれば良いですが、Bも経験が浅い場合は必ず変な間が空きます。
確かにそうなんですが、これがオーディションの場合悪い印象を残してしまうのはAを演じる俳優です。
セリフが「それに」で終わっていたとしても、遮られなければ続けて喋れるくらいには考えておきましょう。
さらに台本を読んだときに
B「(遮って)どうしてもっと、止めてくれなかったの?」
「俺は」「どうしてもっと」の後に区切って読んでいませんでしたか?
句読点は参考にするくらいの気持ちでいて下さい。
また?マークがついていると無意識に語尾をあげて読んでいませんか?
日常生活では質問だからといって常に語尾上がりでは発声していません。
セリフの練習方法 抑揚のつけ方を知っておこう!
セリフを家で一人で練習する時は、ボイスレコーダーで録音したり動画で撮ったりして自分で見返してみましょう。
後で聞くときは自分自身を演出するつもりで聞いてみて下さい。
正解を見つけるつもりで読んでると、イメージが固まってしまって実際に演じるときに素直に反応できなくなってしまいます。
さっきも説明しましたが、セリフの読み方は決めないでくださいね。
抑揚は3つの要素でできている!
セリフに抑揚をつけるには
- 声が大きい・小さい
- 音が高い・低い
- スピードがゆっくり・速い
この3つのバランス調整だけです。
一つのセリフの中でいくつもこのバランスを変えられれば、抑揚のある喋り方と言うことになります。
基本的な読み方として、大事なことは大きく・高く・ゆっくりになります。
こんなセリフだったら、どこの部分が大事になるかは前後の文脈によって変わってきますよね。
「わたしは」「今日」「病院に」「行きます」と言う4つの部分に分けて、どこか一部分だけ大きく・高く・ゆっくり言ってみましょう。
どうでしょう。
どこを強調するかによって、セリフ全体としては違った意味が込められるのが分かるでしょうか。
上のような例だったらわかりやすいですが、実際のセリフだとどこを強調すれば良いのか分からないものもたくさんありますよね。
例えば
こちらはシェークスピア「お気に召すまま」の名セリフです。
極端に強調するようなことは、実際の演技の際にはほとんどしません。
でもやはり抑揚は必要です。
例えば
と言う具合です。
もちろんこれも正解というわけではありません。そもそも決まった正解なんかありません。
皆さんも是非自分の感覚で、声に出して読んでみて下さい。
まとめ
上で説明したような抑揚のつけ方(セリフまわしと言ったりします)は、プロの俳優はほぼ意識しません。
意識しなくても、自然と抑揚がつくのです。
そんな表面的な事は意識していない方が演じていても楽しいですからね。
抑揚は経験値が増えれば勝手につくようになります。
今回は
まだあまり経験がないけど、明日のオーディションでセリフを読むことになっている
と言うような方に向けて書いてみました。
自分がセリフを読んでいるところを動画で撮ってみて、棒読みなのが気になる方はよかったら参考にしてみて下さい。
ただ、オーディションにおいて必要なのは覚えてもらうことです。
経験のほぼないあなたがオーディションを受けるんだったら、そこで審査されるのは演技力ではなくてあなた自身の人間性です。
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個人的には急いでセリフ術など習得しなくても良いと思っているのですが、結構質問が多いので書いてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!