シーンが始まる前の状態を作るために シーンは常に登場人物の人生の途中だ!

シーンが始まる前の状態になる3ステップ

シーンが始まる前の状態を作るには順序があります。

たった3ステップですが、全ての工程を成功させないとシーンが始まる前の状態は作れません。

 

その順序とは

理解する→準備する→捨てる

ということです。

 

一つずつ説明しますね。

 

ステップ1 理解する

まずは

シーンが始まる前に登場人物がどういう状態なのか知る事

です。

まぁ、当然ですよね。

 

こんな当然のことをなぜわざわざお伝えするかというと、ここで失敗してしまう俳優が思いのほか多いからです。

例えばこんなシーンを想像してみてください。

 

自分の父親が目の前で車に轢かれた。父親を轢いた車はそのまま走り去ってしまった。どうすれば良いか分からない。覚えたナンバーをブツブツ口の中で繰り返しながら、Aは交番に駆け込んできた。

この場合はどんな状態でしょう?

交番に駆け込んできてからシーンスタートです。

 

 

経験の浅い俳優の場合

状態は「悲しみ」だとして、号泣しながら入ってきたくなるかもしれません。

 

しかし、本当にそうでしょうか?

例えなので、全体を見ないと確実とは言えませんが、このシーンの始まる前の状態は

「混乱」「焦り」です。

 

「混乱」「焦り」という状態からシーンが始まった結果、シーンの中で涙を流す瞬間もあるかもしれません。

しかし「混乱」を作らずに、シーン中に起こるであろう「悲しみ」にフォーカスしていては、ただの先読み芝居ということになってしいます。

 

ステップ2 準備する

シーンが始まる前はどういう状態なのかということが理解できたら、その状態を作りましょう。

 

 

準備については長くなるので、後ほど詳しく解説しますが

方法は人それぞれでOKです。

 

何をすればどんな状態になるか

ということに対しての感度を高くして、一人一人が準備のストックを増やしていきましょう。

ステップ3 捨てる

この捨てるということは、人によっては一番難しく感じるでしょう。

しかし日常生活に置き換えると、理解しやすいと思います。

 

例えば先ほどの

自分の父親が目の前で車に轢かれた。父親を轢いた車はそのまま走り去ってしまった。どうすれば良いか分からない。覚えたナンバーをブツブツ口の中で繰り返しながら、Aは交番に駆け込んできた。

この設定

交番に駆け込んできた時は、自分の状態には全く意識が向かってないという事は理解できるでしょう。

 

状態に意識を向けないでください。

息が乱れた状態だけ作ったら、その後は状態をキープしようとしないでください。

呼吸が自然と落ち着いてくるのに任せましょう。

 

もしもどうしても意識が向いてしまうようなら

達成したい欲求に意識を向けてください。

そうすれば状態に囚われることはなくなります。

関連記事

先日潜在意識の欲求について解説しました。まだ見ていない方はそちらを先に見てみて下さい。[embed]https://actingnote.com/character1-225.html[/embed]本日も同じく欲求[…]

シーンが始まる前の状態になる!準備の方法と押さえておきたいポイント

ステップ2の準備について、細かく解説していきます。

ここでの準備は、どうせ3ステップ目で捨てるものです。

 

しかし、捨てるにしても

何もないものは捨てられません

捨てるためにもしっかり準備しておきましょう。

 

身体的準備

ジャックニコルソンを見てもわかる通り、体を動かしながら準備します。

簡単に言ってしまえば

「100メートル走った後のシーン」を演じる場合

シーンが始まる前に100メートル走れば良いのですが。。。

 

100メートルはなかなか走れませんよねww

 

 

では

「100メートル走った後」になるために必要な身体的状態はなんでしょう?

 

 

「疲れ」

「息切れ」

「暑い」

「汗」

「動悸」

「顔が赤い」

こんな感じでしょうか?

 

どんな方法であれ

状態を作れさえすれば準備は成功です。

状態を作るためには何をしても結構です。

 

例えば

20回思いっきりジャンプする

などで良いでしょう。

 

 

「100メートル走った後」以外にも

「疲れ」や「動悸」「息切れ」を必要としない状態もありますよね?

「暑さ」「汗」「顔が赤い」だけが欲しいという場合です。

 

その場合はまた別の準備の方法が必要です。

直前まで身体中をホッカイロで熱くしておいても良いでしょう。

極端な話

「サウナに入る」

とかでも良いわけです。

まぁ、シーンの前にサウナに入るのは無理ですが。

 

 

そして、体と心はリンクしています。

体からのアプローチをかければ、必ず心も影響が出てきます。

一度でもしっかりと体の準備をした経験のある方はわかるでしょう。

 

感情的準備

例えば

「大事な恋人が亡くなったという知らせを受けて、病室に泣きながら飛び込んでくる」

というシーンを考えてみましょう。

急いできた身体的な状態も考えるべきですが、ここでは感情的な状態を考えます。

 

「泣きながら」シーンを始めなければならないわけですが、逆に言えば泣いてさえいれば何から作っても良いのです。

どうせその後は完全に捨てるわけですから。

もし最近とても悲しいことがあったなら、そのことに触れても大丈夫です。

 

例えば最愛のペットを失った経験があるなら「ペットの写真を見る」ということが有効な準備になるかもしれません。

「悲しい」という状態を作れればなんでも良いのです。

 

ただし実際の経験は時間と共に薄れます。

長い時間を経た経験は、準備としては有効ではなくなります。

 

ですので俳優としての経験が長い方は、想像力を駆使して、台本に近い状態を作り上げるのが良いでしょう。

その場合はセンソリーというテクニックを使います。

ここでは長くなるので

省きますが、センソリーはとてもパワフルな方法なので、また別で解説したいと思います。

 

2段階準備

2段階準備というのは、シーンが始まる前の状態を作る前に

触れておく必要があるものに触れておく

という準備です。

 

先ほどの

自分の父親が目の前で車に轢かれた。父親を轢いた車はそのまま走り去ってしまった。どうすれば良いか分からない。覚えたナンバーをブツブツ口の中で繰り返しながら、Aは交番に駆け込んできた。
この状況を考えてみましょう。
シーンが始まる前の状態としては「混乱」「焦り」です。
しかし、その状態を作る前に
父親が車に轢かれた瞬間の「驚き」「恐怖」
血だらけで動かない父親を見た時の「悲しさ」
走り去る車を見た時の「怒り」
などに触れておく必要があります。
触れるのは一瞬で大丈夫です。
その後は捨てて、シーンの前の状態になりましょう。
やってみるとわかりますが、2段階準備で触れているのと触れていないのとでは演技の深さが変わってきます。
途中で父親のことが頭をよぎれば自然発生的に涙が出るかもしれません。
また、警察に逃げていった車の特徴を話しているときに、自然発生的に怒りが込み上げるかもしれません。

最後に

いかがでしたでしょうか?

 

台本は登場人物のハイライトです。

 

登場人物がベッドでゴロゴロしながらバラエティ番組を見ているだけの時間にはドラマがありませんよね。

ドラマの無い時間はハイライトとして切り抜かれません。

 

シーンの前にも後にも登場人物の人生が流れているということを理解したら

どんなに「なんてことないようなシーン」だと思ったとしても、登場人物にとっては大きな意味のあるシーンである

ということも併せて覚えておいてください。

 

 

理解して、準備して、捨て去ったら、登場人物の節目となる大事な時間に飛び込みましょう!

 

 

 

最新情報をチェックしよう!