続・役作りの方法 キャラクターの「心」が求めているものと「頭」が求めているものとの違い

先日潜在意識の欲求について解説しました。

まだ見ていない方はそちらを先に見てみて下さい。

キャラクターの土台作り 登場人物が本当に達成したい事は?

本日も同じく欲求の解説になるのですが、今度は顕在意識の欲求について解説していきたいと思います。

タイトルにもあるとおり

潜在意識が「心」の欲求だとすれば顕在意識は「頭」の欲求

になります。

 

役作りをするにあたって、どちらか一つだけだと一本調子な演技になりかねません。

潜在意識の欲求とセットで覚えておいて下さい。

 

顕在意識の欲求はこの3種類

顕在意識の欲求の見つけ方としては3つだけです。

 

  • 相手にどういう行動を起こさせたいか
  • 相手にどう思わせたいか
  • 相手に何を感じさせたいか

 

この3つですね。

例えばケンカをするようなシーンなら会話を通して

相手に謝らせたいのか、相手に怖いと思わせたいのか、相手に罪悪感を感じさせたいのか

 

怒っているタコ
Name
それってなんのために決めなきゃいけないの?
シーンを演じる中で自意識が働いちゃう時ってどうしてもあるよね?もちろん自意識をそもそも働かせないようにしておくべきなんだけど、集中が切れた時に顕在意識の欲求がはっきりしてると、想像の世界に戻りやすいんだ。

例えば相手に謝らせたいなら行動としては

相手の何が悪いのかわかるように説明する

と言うことになるかもしれません。

 

怖いと思わせたいなら

脅す、凄む、詰め寄る

などの行動になるかもしれません。

 

罪悪感を感じさせたいなら

自分がどれだけ傷ついているかを訴える

と言う行動になるかもしれませんね。

 

それぞれ演技のテイストが変わってくるのが分かると思います。目的に応じて作戦が変わるからです。

説明するならセリフは相手に分からせるようにゆっくりになるでしょうし

脅すなら声は大きくなるかもしれません。

訴えるなら、もしかしたら涙を使うかもしれませんね。

 

潜在意識の欲求はただ存在しているだけですが、顕在意識の欲求は演じている時に頭をよぎる瞬間があるかもしれません。

 

そして、顕在意識の欲求は短いスパンで切り替わります。

また別で解説しますが

台本上のイベントが起こったタイミングで顕在意識の欲求も変わります

 

先ほどのケンカのシーンで言うと

相手が泣き出した

第三者が入ってきた

などのイベントがあれば、顕在意識の欲求は別のものに切り替わります。

結果として、演じる上でのテンポが変わって来ます。

イベントがあるとセリフの内容なども変わるので、お手元に台本があればトレーニングとしてイベントを探してみて下さい。

 

顕在意識の欲求の具体例

顕在意識の欲求は、全体を通した潜在意識の欲求を手助けするものになります。

しかし、潜在意識の欲求と同じ種類のものになるとは限りません。

 

説明のために、次の台本を読んでみて下さい

A 「おい、なんだよ。どうしたんだよ。急に。」

B 「…多分、俺のせいだと思う」

A 「お前のせい?何が。」

B 「この前お前の机に落書きされてたのも、ノート隠されてたりしたのもさ。お前転校してきたから知らないと思うんだけど、俺1年前までイジメられてたんだよね。授業中に気持ち悪くなって吐いちゃってさ、それからずっとバイキンて呼ばれてて。俺、最近なんだよ。学校これるようになったの。みんなお前が俺と仲良くしてるのがムカつくんだと思うんだよね」

A 「そっか。誰だって気持ち悪くなったら吐くんだし仕方ないのにな。言いにくいこと話してくれてありがとな」

B 「いや、だからさ、今のままだとお前に迷惑かかるからさ。もう一緒に映画作るのとかもやめとこう」

A 「なんで?それとこれとは関係なくね?」

B 「関係無くないって!俺のせいでお前までイジメられるのとか嫌なんだよ!」

A 「イジメなんてするやつがバカなんじゃん。俺はお前と一緒にビックになるって決めてんだからな!絶対離れねぇぞ!」

B 「…。」

 

このシーンでのBの潜在的な欲求はなんだと思いますか?

 

笑っているタコ
Aとの関係を切りたい!
そう思うんだったら、潜在意識の欲求を理解出来てないよ!

例えばシーンの最後にAが

A 「了解!俺もイジメられるのはやだから、もうお前には話しかけないようにするわ!」

って言ったとしたら、Bは幸せでしょうか?

おそらくBは傷つくでしょう。

悲しかったり、裏切られた気持ちになったりすることが想像できますよね?

 

つまりBが本当に求めているものは「Aとの関係を切りたい」と言うことではないのです。

 

このシーンだけしか無いので全体を通した欲求はわかりませんが、Bの潜在的な欲求としては

何があっても俺を裏切らない事を証明してもらいたい

と言うことになるかと思います。

その上で顕在意識の欲求としては

Aとの関係を切りたい

と言うことです。

 

怒っているタコ
じゃあBって嘘つきじゃん!本当は裏切らない事を証明して欲しいのになんで反対のこと言ってんの?

と思うかもしれません。

でも、Bとしては

どっちも本当なんです

だからこそ複雑なキャラクターになります。

そして人間はそもそも複雑で、実際に生活の中でも潜在意識と顕在意識の欲求が一致していない人に度々遭遇します。

 

そんな悪い事する子はお母さんの子供じゃない!この家から出ていきなさい!!

と怒っているお母さんがいたとして、これって嘘で怒っているのでしょうか?

このお母さんの態度が良いか悪いかは別にしても、こういう事言っちゃう瞬間てありますよね?

 

顕在意識では「我が子を追い出したい」という欲求があるかもしれませんが、実際に子供が出て行ってしまったら遅かれ早かれ後悔することは目に見えています。

でも怒ってる瞬間はあくまで本当なんです。顕在意識では。

 

潜在意識では「私が何を言ったとしても変わらず愛してくれる証明が欲しい」ということになるのかもしれませんね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

潜在意識の欲求に関する記事でも解説しましたが、欲求に関わる考え方はとても大事です。

 

とはいえ、中途半端な理解ではむしろ演技の邪魔になってしまうこともあります。

映画やドラマを見るときにも、練習として登場人物の目的を考えてみて下さい。

 

映画を観たり本を読んだりするときに

この人の潜在的な欲求はなんだろう?顕在的には相手に何を求めているんだろう?

と考えてみると、作品をまた別の楽しみ方が出来るかと思います。

 

本日もありがとうございました!

最新情報をチェックしよう!