「ニコラス・ケイジに似ている」
中学生〜高校生くらいの頃、友人から「父親はどんな人なのか?」と聞かれた時はこう答えていました。
実際ちょっと似ていたし、こんな風に自分の父親の事を紹介すると友人にウケたのです。
ニコラス・ケイジは100作以上の出演作をもつハリウッド・スター
しかし同年代の俳優であるブラッド・ピットやジョニー・デップに比べると華々しい印象はありません。
ケビン・スペイシーやエドワード・ノートンのような演技派という印象もありません。
そんなニコラス・ケイジの、なんとも言えない地味な雰囲気が好きでした。
そしてニコラス・ケイジ似の父親のことも好きでした。
なのですが、ある時からニコラス・ケイジの出演映画に魅力を感じなくなったのです。
観に行ってもイマイチ面白くない映画ばかりで・・・。
そしていつの間にか自分の父をニコラス・ケイジに似ていると思う事も無くなっていたところ「ニコラス・ケイジ完全復活!」という映画ニュースを目にしました。
最近のニコラス・ケイジの出演作がイマイチだと感じていたのは僕だけではなかったみたいですね。
そんなニコラス・ケイジの新たな船出となるのが本日鑑賞してきた
「マッシブ・タレント」
となります。
偉大な映画スターであることへのプレッシャー、みたいな意味でしょうか。
なんにしてもこの映画が面白かったのです。
コメディ要素あり(最初のセリフから既に面白いです)アクションあり親子ドラマありサクセスストーリーあり、といった感じで盛りだくさん。
と言うことでそんなマッシブ・タレントをお勧めする目的であらすじや感想などを綴っていこうと思います。
マッシブ・タレントのスタッフ・キャスト
ニコラス・ケイジ:ニック・ケイジ役
この映画は完全にニコラス・ケイジありき。
ニコラス・ケイジファンは完全に満足できる映画となっております。
僕がニコラス・ケイジを初めて認識したのはフェイス/オフですが、この人は巨匠フランシス・フォード・コッポラを伯父さんに持つサラブレッド。
15歳からハリウッドで映画デビューしています。
他にも監督のソフィア・コッポラや俳優のジェイソン・シュワルツマンなど、この一族はとにかく芸術一家。
ニコラス・ケイジ自身は5回の結婚と4回の離婚を経験しており、借金エピソードも相まって日本で言うところの六角精児さんを彷彿とさせます。
ペドロ・パスカル:ハビ役
私が一時期ハマって観ていた「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演していた人ですね。
「ゲーム・オブ・スローンズ」ではかなり悲惨な最後でした(まぁ、あの作品はほぼ全員が悲惨な最後をとげますが…)
本人もニコラス・ケイジのファンだったそうで、演じるキャラクターともピッタリですね。
主にニコラス・ケイジとペドロ・パスカルの二人によって物語は進行していきます。
公式ホームページより引用
トム・ゴーミガン:監督・脚本
ニコラス・ケイジのキャスティングが決まる前にしっかり脚本を書き上げたそうです。
実際ニコラス・ケイジには何度か断られました。
確かに、落ちぶれた俳優として自分自身を演じるってなかなかメンタルがキツそうですよね。
最終的にはトム・ゴーミガン長文の手紙を書き、その熱意に押されてニコラス・ケイジも出演を決めたそうです。
その他の出演者
シャロン・ホーガン:ニコラス・ケイジの元妻オリヴィア役
リリー・シーン:ニコラス・ケイジの娘アティ役
基本的には男二人の友情と裏切りの物語となる「マッシブ・タレント」ですが、この母娘がいることで家族の物語としも成り立っていました。
ニール・パトリック・ハリス:ニコラス・ケイジのエージェント役
落ち目になったニックを邪険に扱うわけではなく、しっかり愛を感じました。
ステレオタイプなキャラクター設定ではなくて良かったです。
ティファニー・ハティッシュ:CIA捜査官のヴィヴィアン役
初めて観た方でしたが「月の輝く夜に」が一番好きと言うセリフがありました。
私の一番好きなニコラス・ケイジ映画もこの「月の輝く夜に」なのです。
アイク・バリンホルツ:CIA捜査官のマーティン役
この映画で一番可哀想な役回りでした。
でも存在感があって、少ない登場シーンでも印象に残っています。
マッシブ・タレントのあらすじ(ネタバレなし)
以前は賞を受賞した経験もあり、大作映画からも引っ張りだこだった時期もある。
しかし現在は、心から望んでいた役は他の俳優に決まり、妻とは別れ、娘からは押し付けがましいと敬遠されている。
借金も抱え、生活の拠点にしていたホテルの部屋も部屋代を支払えずに出ることになってしまった。
そんなニックの元に「スペインの大富豪の誕生日会に出席するだけ」と言うオファーがくる。
誕生日会に出席するだけで100万ドル(現在の日本円で1億3000万円ほど)
ファンの誕生日会に出席するだけの仕事。俳優としての矜持に反する。
ニックは渋々引き受けつつ、この仕事を限りに俳優を引退しようと決意。
スペインではニックの大ファンである大富豪のハビが待ち受けていた。
最初は乗り気でなかったニックだが、映画の趣味が会うことから二人は意気投合し、日に日に打ち解けていく。
そんな中、ある日CIAのエージェントがニックに接触してきた。
実はハビはギャングのボスであり、政治家の娘を誘拐して脅していると言うのだ。
ハビとの友情も大事だが、誘拐された少女を見殺しにしては自分の娘にだって合わせる顔がない。
半世紀近く培ってきた俳優としてのキャリアを最大限に使って、ニックはこの難題に立ち向かっていく。
マッシブ・タレントの感想(ネタバレあり)
もう、とにかくニコラス・ケイジが変幻自在。
カッコ良い瞬間があったり、面白い瞬間があったり様々です。
ニコラス・ケイジのカッコ良さ
落ちぶれた俳優としてのニック・ケイジことニコラス・ケイジ
なんとも言えないしょぼくれた雰囲気は全編通して醸し出していますが、ハビからエチュード芝居を持ちかけられるシーンがあります。
台本が無く、設定だけがある状態で演じる即興劇のこと
最初は素人からの無茶振りを相手にしないニックですが、しつこく食い下がるハビのエチュードに乗っかります。
エチュードに参加した瞬間の振り向いた表情は、それまでの雰囲気とは一変していて「これぞ俳優!」と言えるカッコ良い瞬間でした。
抱拳礼の意味の分からなさ
ポスターにもなっていますが、何度か抱拳礼が交わされます。
中国武術でよく見るやつです。
日本の武道のお辞儀にあたるもので、左手を開いて、右手は拳を握って左手にくっつけます。
問題の抱拳礼シーン マッシブ・タレント公式ホームページより引用
これ映画を見ていても、なぜ抱拳礼なのか気になっていました。
で後々調べてみたのですが、撮影期間中はコロナが蔓延している真っ只中。
そこでニコラス・ケイジからの提案で「握手ではなく抱拳礼が良いのでは?」と言うことになったそうです。
握手をしないのはまだわかりますが、代わりに抱拳礼を採用するところがニコラス・ケイジの意味不明さですね。
これジョークでやってるのかどうか日本人の感覚としては判断しかねますが、少なくとも映画を観た印象としてはジョークではなくやっているように見えました。
マッシブ・タレント内にいくつも織り込まれる代表作のオマージュ
途中いくつもこれまで観たニコラス・ケイジ映画のワンシーンを彷彿とさせるシーンが織り込まれます。
私もニコラス・ケイジ作品を全て観たわけではないのですが、それでも
「リービング・ラスベガス」「ザ・ロック」「コン・エアー」「フェイス・オフ」
など、往年の作品の数々を楽しむことができました。
若いニックとの演じ分けという意味では「アダプテーション」の要素も入っていますし、セリフの中にはもっと多くの作品名が度々登場します。
さらにそれぞれの映画の代表的な小道具もそっと置いてあったりするので、詳しい方なら宝探し感覚も楽しめるでしょう。
マッシブ・タレントの好きなシーン
物語の後半、ニコラス・ケイジは培ってきた演技力を活かしてさらわれた自分の娘を救出に。
奥さんは元メイクさんと言う設定で、特殊メイクをされたニックは悪者の仲間を演じます。
俳優として散々ヒーローを演じてきたニックが、実際にヒーローとして悪者に立ち向かっていくというシーンです。
「わぁぁぁ!!!」と叫びながら立ち向かうのですが、絶妙にヒーローになりきれない塩梅がすごくうまいなぁと思いました。
マッシブ・タレントまとめ
ということで本日は最近観た「マッシブ・タレント」についての感想を書いてみました。
最近は4月からの新しいクラスに備えて準備をしておりましてなかなか映画を観れずにいましたが、やっぱり映画って楽しいですね。
「マッシブ・タレント」は商業映画だけど綺麗にまとめてないというか、守りに入ってない展開で一軒の価値はあるかと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。