こんにちは!イルカ先生です。
今日は池井戸潤先生の「ハヤブサ消防団」を読みましたので、備忘録として感想を残しておこうと思います。
池井戸潤先生と言えば「半沢直樹」のシリーズや「下町ロケット」「陸王」「花咲舞が黙ってない」などドラマの原作多数。
私も俳優業をしておりますので、池井戸原作ドラマのオーディションを受ける前に、何度か予習で読んだ覚えがあります。
池井戸潤先生原作のドラマはどれも人気ですよねー!
全部を観ている訳では無いですが、ご自身が確か昔銀行マンだったこともあり、金融関係のお話が多い気がします。
小説家でも、原作をできる先生と出来ない先生がいます。
映像化って難しいんですよね!
どうしてもある俳優の出番を増やさないといけないという政治が働いたり。
映像化するのが難しい演出などは変更を余儀なくされたり。
小説家として自分が死ぬ思いで書き上げたものをドラマの脚本にするにあたっては、やはり折れられない部分だって出てくるでしょう。
そういう意味で、池井戸潤先生は制約の中で形にする事が得意な先生なのかな?と思います。
今回はそんな池井戸潤先生の新刊「ハヤブサ消防団」の書評です。
全く予備知識なしで読みましたが
面白いですねー!
ミステリーとしても面白いですが、個人的には地方移住の部分がとても好きでした。
30日間終了後は月額980円になりますが、それでも新刊一冊よりも安いのでおすすめです。ハヤブサ消防団を無料で読む
「ハヤブサ消防団」のあらすじと登場人物
池井戸潤先生は、元々ミステリー小説が好きで小説家の道を志したそうです。
処女作もミステリーを書いてらっしゃいます。
そんな池井戸潤先生が今回書き上げたのは
田園ミステリー
銀行とは真逆というか、新たな境地ですね。私も池井戸潤先生にミステリーという印象を持っていませんでした。今回もミステリーと思って読み出した訳では無いのですが、後半はもう怒涛の展開で引き込まれ続ける事になりました。
「ハヤブサ消防団」のあらすじ
東京での暮らしに見切りをつけ、亡き父の故郷であるハヤブサ地区に移り住んだ
ミステリ作家の三馬太郎。
地元の人の誘いで居酒屋を訪れた太郎は、消防団に勧誘される。
迷った末に入団を決意した太郎だったが、
やがてのどかな集落でひそかに進行していた事件の存在を知る—。
連続放火事件に隠された真実とは?>集英社公式HPより引用
こちらは公式ホームページからの引用です。
あらすじでさっくり触れられていますが、地元の人たちが行く唯一の居酒屋である
居酒屋△(サンカク)
「太郎くん、サンカク行かへん?」
と誘われて、主人公は超地域密着型の居酒屋に何度も足を運びます。
この居酒屋が良いんですよねー。ケイチャンとアブラゲが定番。
この居酒屋は主人公が属する消防団にとっても溜まり場みたいになってて、もはや還暦に近いような大人たちがたくさん集まってくるんですね。
そこで日本酒を飲んで、みんなでワイワイやって。なんて楽しそうな時間。。。
最初こそ、自治会だったり、消防団だったり。
地方ならではの交流が煩わしく思うんですが、読み進めていくと読者もハヤブサ地区に慣れ親しんできて、擬似地方在住の気分を味わえます。
道ですれ違う人と会釈を交わす感じがなんか良いんですね。
主人公は全身で自然に溢れたハヤブサの街を満喫します。
そんなほのぼのした世界を楽しんでいるうちに、、、
徐々に不穏な空気になるんですねー。
「え?この人、大丈夫?」
「あれ?この人もなんか怪しくない?」
とかね。
みんなのバックボーンが語られていくにつれ、徐々に疑いの心が蓄積して行きます。その頃にはみんなに感情移入しちゃってるから
みたいな気持ちになってきます。
最後は様々に貼られた伏線を見事に回収してくれます。なので読み終わったあとはちゃんとスッキリしますよ。
「ハヤブサ消防団」の登場人物
ハヤブサ消防団は、とにかく登場人物がたくさんいます。でも、不思議と読み進めるにあたって混乱しません。
これはも池井戸先生のテクニックなんでしょう。
という疑問を持っても、小説の中で自然な形で教えてくれるんですね。登場人物の紹介なんかも載っていますが、読んでいる時は一度もそちらを見ることはありませんでした。これも地味に凄いことだと思います。
なので、読むにあたっては特に気負わずに読んで大丈夫なんですが、一応掲載されていた人物紹介を載せておきますね。
三馬 太郎ーミステリ作家
宮原 郁夫ーハヤブサ消防団の分団長
森野 洋輔ーハヤブサ消防団の副分団長
藤本 勘助ーハヤブサ消防団員。工務店勤務
徳田 省吾ーハヤブサ消防団員。一徳堂店主
中西 陽太ーハヤブサ消防団員。大工
山原 賢作ーハヤブサ消防団員。林業経営
立木 彩ー映像クリエイター
江西 佑空ー住職
信岡 信蔵ー町長
吉田 夏夫ー郵便局長
永野 誠一ー警察署長
中山田 洋ー編集者
田村 冨市ーフリー記者
高斎 道春ーオルビス・テラエ騎士団教祖
杉森 登ーオルビス十字軍総長
たくさん出てくるんだなぁ、ということだけ分かっていただければ。
これはあくまで一部で、本編ではもっとたくさん出てきます。でもほとんどは下の名前で呼ばれるので、上の名前はあまり印象に残っていないです。
「ハヤブサ消防団」の感想
本格的なミステリーで、読むほどに引き込まれていく作品です。ですが、ミステリーありきで読む小説では無いのかな?という印象でした。
読んでいる時の印象として、既に連続ドラマのような手触りです。底を流れている謎はあるけれども、常にその謎にフォーカスしている訳では無いというか。
なので、ミステリの部分を追っていると逆に捕まえ損ねてしまう部分があるかな、と思いました。
概要やあらすじの部分でも書きましたが、とにかく地方に移り住んだ描写がリアルです。コロナ禍でリモートワークが盛んになり、まさしく地方在住をすることになった方もいるでしょう。これから考えている方もいるかもしれませんね。
池井戸潤先生の「ハヤブサ消防団」は、地方のいろんな側面に触れてくれます。面倒な部分もあれば、地方の怖い部分もあったり。
また、地方も東京も、悩む部分は結局同じだな、という気持ちにもさせてくれます。
個人的にはミステリ部分も面白かったですが、地方の雰囲気というか、そういった日常が楽しかったです。あと、今ものすごく居酒屋でお酒を飲みたいです。
でもなー。
居酒屋サンカクで仲間と飲みたいんだよな。。。
まぁ、叶わぬ望みです。